E-YABUMi

いゐやぶみとは

 E-YABUMiは、コミュニケーションの新しいあり方を提案するためのソーシャルアプリケーションです。
 戦国時代より日本に残っている「矢文」をモチーフに、Apple社のスマートフォンであるiPhoneのGPS、電子コンパス、カメラなど、特徴的な機能を利用して制作を進めています。
 iPhoneは「携帯可能」「機能的に位置情報との結び付きが強い」といった特長があり、矢文は「自分がその場所にいないながらも、特定の場所に向けて送信することが可能」「匿名で送信が可能」という特性を持つメディアです。
 このふたつを掛け合わせることで、位置情報が結びついた、ゆるいつながりのあるコミュニケーションツールを実現できると考えています。


研究目的

 大目的として、コミュニケーションの新しい形を提案すること。
 その結果として、ゲーム業界の新しい流れを作りたいと考えています。

研究背景

 私はアルバイト社員としてコンシューマー向けゲームの開発会社に在籍していますが、この研究はその立場に拠るところが大きいのが特徴です。
 近年発売されたゲームの中で、ヒットしたものに共通する要因に、「プレイヤー同士がゲームを通したコミュニケーションを実現できる」という点があります。
 加えて、大手SNSを通したソーシャルゲームの流行も、この研究にあたるきっかけになった理由のひとつです。ユーザー数1500万人を超える大手SNS、mixiは、2009年8月に「mixiアプリ」をリリースし、ユーザーから好評を得ています。その多くが、マイミク(友人)と競い合うという趣旨のアプリケーションです。
 また、コミュニケーションの場から、自然発生的に遊びが生まれた例もあります。Nintendo DSにはピクトチャットという、一定範囲内にあるDS同士で絵によるチャットが行えるアプリケーションが標準搭載されており、それを利用した鬼ごっこが2008年半ばから見られるようになっています。アプリの設計上は単純なコミュニケーションツールですが、DSという「携帯出来る」特長を持ったプラットフォームと組み合わせることにより、コミュニケーションツール上でエンターテインメントが生まれたのです。
 今回の研究も、これら例のように、コミュニケーションツール上でエンターテインメントを目的とした行為が発生するようにデザインしたいと考えました。

機能説明


▲矢文の閲覧画面

▲地図上で一覧表示も可能です

 現在の機能は大きく以下の二点です。

【一、矢を撃つ】

 タッチパネルで直感的な操作が可能なiPhoneのインターフェイスを活かした仕様としました。アプリケーションのインターフェイス上で手紙を書き、矢にセットします。iPhoneを持って、画面上に表示されている矢をフリックし、放ちます。放ったときに操作者のいる場所、本体が向いている方向、その射角、それからディスプレイ上で矢を引いた強さ(距離)を数値化し、その方向に算出された距離分、矢が飛びます。E-mailにはない送受信の不確実さを逆手に取って利用することにより、エンターテインメントの性を持ったコミュニケーションツールを実現出来ると考え、このような仕様としました。

【二、手紙を読む】

 操作者がいる場所から一定距離内に存在している矢を、AR技術を用いてiPhoneの画面上に表示することが出来ます。前例としては頓智.comの「セカイカメラ」がありますが、送信者のいる場所にしか発言を残せないといった不満点があります。「E-YABUMi」は手紙を撃つことができることによってその不満点を解消し、より豊かなコミュニケーション体験を提供することができるのです。

 また、以下の二点は実装検討中の機能です。

【三、火矢の導入と、矢文の一定期間消去の停止】

 矢が着弾した場所の周辺にある、特定の面積に存在するメッセージを燃やす(消す)演出を加えます。これが、いわゆる「ネット荒らし」行為の抑制となります。また、矢文が一定期間で自動的に消去される仕様を停止し、火矢でのみ消去可能にすることにより、人気のある場所、ない場所で話題の切り替わるスピードを自由に操作することもできます。この利点としては、場所によってコミュニケーションのスピードに幅を持たせることができ、DSの「すれ違い通信」などでよく見られた、地域差によるデメリットの解消につながります。

【四、周囲の矢の送信元を地図で一括表示】

 他の地域の人々がその場所に対して抱く関心の強さを、ひと目で確認することができるようにするための仕様です。イベントや観光地などにおける利用に際して効果的であると思われます。逆に、送信者のいる場所から送信された場所を一括表示することも考えられます。

 現時点では、前述した機能【二】の実装を終え、iPhone上で動作を確認しています。機能【一】については、ウェブブラウザを介したデータの入出力が可能な段階であり、現在iPhone端末とのインターフェイスを実装中です。なお【機能 二】の実装にあたっては、株式会社ゴーガから提供されたARライブラリを使用しています。

【謝辞】
本研究を進めるにあたりご協力頂いた、株式会社ゴーガ 小山様 関様、および渡邉英徳准教授に感謝します。